知ってるの?

ケイの日記

電子郵便

それからしばらくたった平日。
電子郵便が届いた。

「受かってますように・・・!」
国立後期の合格者番号の電子郵便だ。
今更祈ってもしょうがないのは分かっているけれど、祈りながら封筒を開ける。

自分の受験番号何番だっけ!?
後期試験から帰ってから一度もあけていないかばんの中から受験票を探す。
受験番号は67番。
後期は合格者数が少ないから番号を探すのには手間取らない。
「あ...!!あった!!」
うれしかった。
地元じゃないけれど、受かったっていう事実はやっぱりうれしい。

すぐに今口に電話したかった。
けれど、今、普通に授業中だね。
うーん・・・夜までお預けだ。

正午過ぎ、電話が鳴った。
母からだった。
仕事の昼休みにどうしても気になってかけてきたんだと言う。
とりあえず、国立に受かってよかったと言っていた。

2時ちょっと前にまた電話がなった。
「今口!?」
5時間目が空き時間なのだという。
「今日、後期発表だろ?お前の同級生とか報告着たり、電話したりしてるぞ。この恩知らずぅ。」
「え!?あ!?そういうもの?長居先生にもよろしく言っといて...って訳にも行かないよね。」
「で、どうだったよ!?」
「もちろん、受かってたわよ。」
「何だよ、その自信たっぷりな言い方...結果出るまではけっこう不安だったくせに。」
あ...ばれてましたか。
「・・・おめでとう。あとで長居先生にも電話しとけよ。」
「うん。」
「じゃぁ、またな。」
「うん。ありがとう。」

忙しい中、こそこそと事務室前の公衆電話から電話する今口の姿を想像しながら、あたしは一人でクスッと笑った。


さて、アタシの行き先は、兵庫。
これから、引越しやら何やらで忙しくなる。

高校生のあたしは、一人でアパートを借りたりだとか、生活用具一式そろえるとか、そういうことができない。
必然的に親と行くことになる。


その次の週末には親と二人でアパートの契約をしに行った。
神戸近くは家賃も高い。
ワンルームのアパート。
家電も近くのホームセンターで見繕った。
3月27日に引越しをすることに決めた。

そうして、また、あたしは今口と離れることになる。
4年間という時の長さはそのときのあたしには実感できていなかった。